20度を超えると暑いと言い出す霰です。
今回も創作のための勉強回ということで『欠落と回復』について語っていきます。
前回の『三幕構成』は、一つの物語を序・破・急の三つに分ける考え方でしたが、今回紹介するのは更に単純に二つに分けます。
ただ、これは物語の体系というより、一人のキャラクター(特に主人公)に対する行動の動機付けという感じになるんだと思います。
これは、かつて師に教わったおぼろげな記憶の再確認という形の記事です。
不足や解釈違いなどありましたらご指摘いただけると幸いです。
では、早速例を挙げて進めてみましょう。
無くしたものを取り戻す。
かなりざっくり言うと『欠落と回復』は、ある人物が抱える不満や不足を埋めようとする動きの事です。
ここでも例としてわかりやすいのはマリオですね。まさかこんなにお世話になるとは思わなかった……。
キャプションにもあるように、マリオは毎回物語の冒頭でピーチ姫を攫われています。
円満な状態にあった彼の日常から、ピーチ姫という要素が欠ける。
即ち『欠落』です。
彼の冒険はその『欠落』を埋め合わせるため、ピーチ姫を救出するという目的で一貫しています。
そうしてピーチ姫が取り戻され、円満な日常が取り戻されることが『回復』。
物語は常にその『回復』された状態を目指して展開されます。
ただ、大抵の物語には『回復』に向かうまでに障害があるわけで、マリオも例外ではありません。というか彼のライバルこそが究極の典型例です。
敵対者
というわけで、ここでクッパ大王様が登場します。
彼は『敵対者』という、主人公と利害が反する立場にある人物です。
具体的に言うと、どちらかが『回復』するともう一方が『欠落』する関係ですね。
彼は寂しい独身。つまり最初から『欠落』を抱えている存在です。
そんな彼は寂しさ(?)を埋める、つまり『回復』させるために、毎回必ずピーチ姫を攫っては求婚します。
しかし彼が自分の穴を『回復』させようとすると、マリオを含めたキノコ王国の人々は、大事なお姫様を『欠落』させてしまうのです。
なので両者の争いは終わらず、毎度ピーチ姫を奪い合うんですね。
まとめ
『欠落』を抱えた物語の登場人物は必ず自らを『回復』させるために動き、そこで利害がすり合わない相手とぶつかるとどちらが『欠落』を飲むかをかけて争いになります。
これが、何者かと何者かが争う物語の骨子になるんですね。
物語の構成に悩んだらまず世界観を定め、その中に相反する志を持った二人の人物を登場させるだけで、自然と話が展開していくんだと思います。
ネットでそれっぽい記事が見つけられなかったので、今回の記事は完全に記憶を頼りに纏めたものです。
なので理論として不完全な部分もあるかもしれませんが、書き手の方、読み手の方の参考になれば幸いです。
こうして記憶を開けば、もう一歩成長できると信じて。
作品はこちら
Ⅲ勇者クロニクル ~第Ⅰの勇者『黒騎士』~ (syosetu.com)