しごおわ直後は病気がぶり返す霰です。
相変わらず隙あらば寝てなければなりませんが、作品はちびちび進めて週末までには出しますのでお待ちください。
さて、誠意制作中のⅢクロには勢力同士の争いが絶えませんが、現実世界でも創作の世界でもそういった話はとってもありがちです。
それは児童書であっても大人の世界の説明としてわかりやすいもので、基本的に人間の大人たちはくだらない事で喧嘩して自滅を繰り返すものだよ……とそれとなく子供に教えたりもします。
「じゃあ人間って悪い生き物なの?」
今日思い出したのは、子供たちのそんな問いにやんわりと答える物語です。
では本題。
ポポロクロニクル
ポポロクロニクルー上下巻セットー―白き竜 | 福島敦子, 田森庸介 |本 | 通販 | Amazon
原作の時系列の少し前、本伝の主人公ピエトロ王子の父親・パウロ王の王子時代の物語です。
でも主人公はそのパウロ君ではなく、ムルカという別の少年。
ムルカ君は故郷の森で負傷した白き竜サニアと出会い、彼女に刺さった『竜の剣』を抜ける人を探してほしいとの依頼を受けます。
彼女と森の生き物たちの導きにより、ムルカ君は生まれて初めて森を飛び出し、竜の剣の使い手を求めて『ポポロクロイス王国』を目指すのです。
ドラゴンからの捜索(クエスト)依頼……ドラゴンクエスト? とか思われそうですが別のお話です。もしかしたらオマージュかもしれないけど……。
原作同様文体は優しく、常に敬語で読み聞かせしやすい内容。
ゲームを知っている人は勿論ですが、内容は自己完結しており、それこそお子さんの寝物語にもおススメの本ですね。
因みに私もゲームはやっておらず、ポポロ歴は昔やっていたアニメシリーズ、パウロ君から更に孫世代の『月の掟の冒険』だけですが楽しめました。
Amazon | 「ポポロクロイス®」Full Story Blu-ray | アニメ
散々おススメしているデルフィニア戦記よりさらに読みやすくとっつきやすい物語。
でも内容がチープかと言えばそういうわけではなく、ちゃんと人間社会の問題や暗部、そうした枠を超えた巨悪との戦いが描かれています。
そして、人間と他の生き物たちの住み分けについても序盤で描かれており、私個人としても参考になる内容でした。
ムルカ君を森から王国に送るため、マルコシアスという喋る狼が遣わされるのですが、道中の二人の会話が個人的には一番好きなシーンですね。
この世界には妖精族や竜族というファンタジーな種族も登場しますが、実在の動物たちと同じように人間に住処を追われています。
その事を聞いた人間のムルカ君は、狼のマルコシアスを前に呟きます。
「他の生き物から住処を奪う人間は悪者なのかな?」と。
それに対するマルコシアスの返しは、今でも私の胸に残って離れない名台詞でした。
短い一言ですが、彼の言葉はこう教えてくれたのです。
「人間には確かに悪性があるけど、それを置いても守られるべき愛しさがあるのだよ」と。
実際の台詞はこれよりもっと短く、そして秀逸。
更に私が穿った受け取り方をしているかもしれないので、同じ台詞を読んでも人によっては違う感想を抱くかもしれません。
それでも、人の悪に触れてなお人を守るために巨悪に立ち向かう。そういうヒーローを作るためには重要な骨子となる一言でした。
私の作品の勇者たちは今、人間の善性を疑い、見失っています。
しかもその大半は、マルコシアスのような導き手を欠いています。
そんな彼らも些細なたった一言で人間を見直し、これから先の物語を展開していくでしょう。
『人間の物語は人間を愛するために』。
これを伝えてくれるお話は他にもジョジョなんかが有名ですね。
書き方は人により差がありますが、それでもそれはこの本が教えてくれた大きな学びの一つです。
文量は少な目ですが、大人にも子供にも、本好きにもそうでない人にも多くの学びを齎してくれるいい本だと思います。
知識を蓄えるというよりは、心を育てるものとして是非お試しを!
作品はコチラ
Ⅲ勇者クロニクル ~第Ⅰの勇者『黒騎士』~ (syosetu.com)
歩く塔のアン (syosetu.com)※お休み中
Twitterはこちら